2013年 04月 24日
レター教室 |
5人の登場人物がやり取りする手紙のみで表現された異色の小説。
『レター教室』という題名の示すとおり、それぞれの手紙は「借金の申し込み」
「身の上相談の手紙」「病人へのお見舞い状」などタイトルがつけられ文例としても
使えるようになっている。
5人の書き手による違いはもとより、社交的な手紙から歯に衣着せぬ悪口の手紙まで
各人が書き分けるスタイルは実にさまざまである。
中には「英文の手紙を書くコツ」などのように手紙の中で手紙の書き方を指南するという
凝った仕掛けを施されたものもある。
ストーリーは登場人物たちの繰り広げるドタバタ喜劇風の人間模様で、はじめは
あっさりしていた人間関係が、恋愛、嫉妬、裏切りなどさまざまな感情によって
複雑に絡み合っていく。作者は交錯する感情の中に人間心理の機微を描き出し、
手紙という表現手段を用いることで人が常に他者との相対関係にあることを浮き彫りにしている
まず、この表紙、山本容子さんの挿画が素敵^^
この本も娘のセレクトであります。
「仮面の告白」とか「金閣寺」も三島作品は読んだことがないので・・・
というか読もうと思ったこともない。
三島由紀夫と言えばあの軍服にはちまきのあの姿の印象しかない。
なので、かなり硬派な難しい感じなのかな・・・という先入観を持って
読み始めたが全く違った。
彼の作品の中では異作なのだろう。
まず登場人物の解説があり、手紙のやりとりだけで構成されているが
ちゃんとstoryになっている。
内容は昭和の香り・・・というかちょっと古臭いのは仕方ないんだろう。
でも、登場人物の名を借りて女性の嫌らしい部分、男性の嫌らしい部分
調子のいい人間、媚を売ったり、自信過剰だったり・・・
人間の嫌な部分を痛烈に批判しているように感じる。
三島由紀夫という人は人間観察の鋭い、繊細な人だったのだと
その文章から伺えた。
そんな真っ正直な視線が彼をあそこに連れて行ったのだろうか?
むろん、この本はユーモアたっぷりの話で、そんな事を感じるのは
私だけかもしれないけれど・・・。
最初の人物紹介を読みながら、こんな美しい文章を書く人なんだなと
感じた。
これは、「仮面の告白」も是非とも読んでみたいなと三島に興味深々に
なった私なのだ^^v
by suuko3077
| 2013-04-24 12:47
| 本