2010年 03月 25日
博士の愛した数式 |
記憶が80分しか持続しない天才数学者は、通いの家政婦の「私」と阪神タイガースファンの
10歳の息子に、世界が驚きと喜びに満ちていることをたった1つの数式で示した…。
頻出する高度な数学的事実の引用が、情緒あふれる物語のトーンを静かに引き締め整える
第1回の本屋大賞の作品だから、話題になってからずいぶんと遅れて読んだ事になる。
もっと早く読めばよかった。
本当に良い本だった。
映画はビデオで観ていたけれど本も読んでおけばよかった。
何だろう?
この間の「猫を抱いて象と泳ぐ」では、この作品には音がないと感じた。
そして、今回の作品では終始、暖かい空気に包まれている感じがする。
私は小川洋子さんの文章を体感する。
夕暮れの帰り道、家々に灯る灯りがやけに暖かく見えて切なくなる。
そんな気持ちに似ている。
夕食の場面がよく登場したからだろうか?
数学は全く苦手な私。随所に出てくる数字の話は理解できないが
知り合いの奥さんが大学で数学を専攻していたとかで、大学の数学って
1+1=2に何故なるかというような勉強だと聞いた事があって、成る程
こういう事なのかと理解した。
どの世界も掘り下げれば哲学的なものなんだな。
博士と家政婦の私とその息子ルート。
3人の愛すべき日々。
とりわけ刺激的でもない愛すべき日々。
見方に寄れば大変な苦労の毎日かもしれないが
特別な友愛数に導かれた縁は不動の友愛を結ぶ。
上手に表現できないけれど私の好きな本BEST3にランクインする作品になった。
素晴らしい^^v
by suuko3077
| 2010-03-25 19:51
| 本