2011年 01月 19日
桜庭一樹 |
ママの名前は、マコ。マコの娘は、コマコ。うつくしく、若く、魂は七色に輝く、そしてどうしようもなく残酷、な母の“ちいさな神”として生まれた娘の5歳から34歳までを描く。
優雅だが、どこかうらぶれた男、一見、おとなしそうな若い女、アパートの押入れから漂う、罪の異臭。家族の愛とはなにか、超えてはならない、人と獣の境はどこにあるのか?この世の裂け目に堕ちた父娘の過去に遡る―。黒い冬の海と親子の禁忌を圧倒的な筆力で描ききった著者の真骨頂。
桜庭一樹の作品をたて続きに読んだ。
正直感想を書こうかどうか迷ったけれど・・・
私が「私の男」を読んでいると言うと自分も読むと言った友人がいるので
彼女の為に書いてみる。
どうだった?
闘病中のあなたには気が滅入る作品だったのではないですか?
書き出しはとても面白いのだ。
2作品とも途中まではグングン引き込まれて夢中で読んだ。
どちらも、要するに幼児虐待にあたる。
悲しいのは親の歪んだ愛情を子供は愛を持って受け入れていると言うことだ。
子供はかくも純粋なものなのか・・・。
そして、家族だけの世界に浸りきることは
どんなに危険な事であるか・・・。
虐待の大元はそんな所にあるのかもしれない。
彼女の筆の力でそれは深い愛情物語となっているのだが・・・
終始じめじめと湿った空気が漂っている。
そして、読後感がすごく悪い。
性愛の描写がなかったら、救われたかもしれない。
それは、あまりにも哀しくてあわれだ。
血の繋がりっていうのはそうじゃないだろう。
私の中の正義感が物語りと言えど許せないのかもしれない。
いつものおせっかいおばさんが「それ、間違ってるよ」と顔を出すのだ。
フアミリーポートレイトを読みながらアゴタ・クリストフ「悪童日記」を思い出していた。
昔々に読んだのであまりよく覚えていないけど、この何とも言えない不快感と悲しみと
淡々と進むストーリー展開・・・それでも夢中で読み続けてしまう・・
いつか感じた感覚だな~と。
「私の男」で登場する「チェインギャング」の絵。
おっ、これはブルーハーツの「チエインギャング」と関係あるのかと
調べたら、どうも架空の絵みたいだ。
しかし、「鎖に繋がれた囚人」・・・なるほどね。
きっと好き嫌いの分かれる作家だろう。
だけど、不快感を感じながら他の作品を読んでみようかと
期待させる何かを桜庭一樹には感じるのだ。
面白い・・・だけど・・・う~ん・・・
それが彼女の魅力かも知れない。
by suuko3077
| 2011-01-19 10:46
| 本